渚のハードボイルド



少しかっこいい男を演じようと思った

目覚まし時計はAM5:30をさしている

ゆっくりとベットから抜け出した

目指す場所は決まっている

冬の真っ只中、外はとても寒かった

庭に雪さえ積もっていた


ジョギングをしながらそこについた

空が少し明るくなっていた

そこは港のテトラポット

そして俺は右足をその上にのせ

右足の太ももに右ひじをのせ

自分のあごに右手を添えた


よく渋いドラマなどで見かけるあのシーン

船の汽笛はなかったが、少し満足げだった


5分くらいその体勢を続けていると雨と雪が混じったものが降ってきた


「どうせ俺にはこんな場面は似合わないさ」


そろそろ寒くなったことだし帰ろうとした時だった


ツルッ!!

時間が止まったのをはじめて感じた瞬間だった。そして・・・

ボチャーン!!


船着場でおぼれていた僕を助けてくれたのは

近くを通りかかった漁師さんだった

何とか命は取り留めた・・・


−2℃の気温の中をずぶ濡れで帰った

その日40℃の高熱を出し学校を休んだのは

言うまでもない・・・・


もう二度としないだろう・・・だぶん・・・