ウォッチャー
『死』の契約を成す者
その者の名は『杜暦 風路』
近いうちに『死ぬ運命』とされる人間を見極め、それに反しないよう死後の契約を行うことが彼の責務である。
彼は人間と同様、100年にも満たない寿命で命を終えるが、再び生前の記憶を残したまま転生を行うのである。
神が創造したひとつの形「死神」
人は発展し着々と人口を増加させていく中、それが輪廻の器に入りきらなくなってしまったのである。
器に入りきれなかったものは、『無』と化してしまう。
『無』が増加することによって地球均衡は崩れ大地は再び全てを失うことになる。
かつても同様のことがあった。
『恐竜時代』
恐竜の生命は莫大なものがあり、ただでさえ器の大半を占めるというのに、それが大繁殖を起こし、輪廻からこぼれだして行き
そして器は壊れたのである。
その後大地は壊れ、ほとんどの生命は死滅した。
それを恐れた神はその形を創造したのである。
『杜暦 風路』はその運命を仕方ないと受け入れ、契約を行ってきた。
『死』の形は彼の右腕の焼印として記される。それは『輪廻』への切符という証である。
しかし、ある時彼は気づくのである。
それは些細な出来事から生じたものだった。
愛するべき人の死の契約。
自分が守るべき人の死をただ見ていることしかできず、そんな自らの業を呪ったのである。
『俺は結局自らの生を謳歌できず、ただ神が糸で操っている人形に過ぎないのではないか?』
それでも結局は自らの運命を呪ってもまた同じ運命を辿るだけ。その繰り返し。
悲嘆してもそれは無駄であることには違いない。
しかし・・・。
彼は神の命令に抗うことを決意するのである。