ナウシカの世界と現実社会
僕はとても悲しい経験をしてしまった。
それは初恋の人がナウシカということである。
あの、風を読みまるで鳥のようにメーヴェを操る凛々しさ、勇猛さ。
そして、谷の姫としての優しさと美しさ。惚れてしまうのには10秒もかからなかった。
どれほど好きかというと、友達に「あんな人はこの世界にいるわけない」と言われたが、
「必ず見つけ出す!!」とケンカになったというほどである。
今となってはそれはそれでいい思い出だと、感じている。
まぁ、それはさておいて『風の谷のナウシカ』の世界観として
一番よく記憶に残っているのはやはり腐海や、オームという名のでかい蟲だろう。
かつて産業文明が栄えていた世界は火の七日間と言われる世界大戦で崩壊。
いまとなっては廃棄物によって覆われた大地に広がっているのは大きな森、腐海があるのみ。
そこから生まれてくる有毒な胞子を飛ばす植物。生き残った村や町も腐海によって次々と飲み込まれて行く。
僕達がいるこの世界でも同じような状況が発生していないだろうか。
例えば「砂漠化」と「産業廃棄物問題」である。
人間達が作り出した機械や産業のため木材として木々が次々と伐採されていき、
それが原因となって温度が上昇。結果砂漠が広がって行く原因となってしまった。
温度上昇による海抜の高度化も深刻な問題となってきている
産業廃棄物においては年間4億トンにも及び、
ごみが運び込まれて行く夢の島では山かというほどのごみが積まれている。
そこから生まれる、有毒なガスや、ダイオキシンについては体から震えがとまらないほどである。
ボーイスカウト団体に入ってじかに自然とふれあい、夜に空を見上げれば満天の星空が見える。
僕は声も出ず感動してしまった。
これが自然なのだ、とあたりまえのことながら思ってしまった。
そして1歩自然から帰ってみればそこはごみばかりの世界。
なぜ人は自然を見なくなってしまったのだろう、きっと自然を見ればその美しさに感動を覚えるはずなのに。
その団体の隊長はこう僕に告げてくれた。
「人間発展してしまうともっとその先を目指してしまう。
過去にあった自然のことを省みる余裕がないほどな」
僕は泣いてしまいそうだった。
20世紀、人間は大きな発展を遂げるとともに多大なる「負の遺産」を残してしまった。
いつ腐海が現れてこの世界を飲みこんでもおかしくないくらいである。果てしなく広がる環境問題。
ナウシカの世界は僕達の住んでいるこの世界の未来なのかもしれない。